グローバル・コンパクト・ジャパン・ネットワーク関西分科会が『たかしま生きもの田んぼ』でフィールドワークを行いました。
2010年6月15日
「パシャッ!」
田んぼ横の水路に、(株)アミタ持続可能経済研究所(以下、アミタ持続研)の本多研究員が網を入れて中をかき出す音が響きます。すくいあげた泥をかき分けると、中からはドジョウやニゴロフナがたくさん。覗き込んだ大人たちから、歓声があがります。

ここは、琵琶湖の西側に位置する滋賀県高島市。豊かな生きものが生息するこの田んぼは、「たかしま生きもの田んぼ 」(新しいウィンドウで開きます)と言い、高島市の有志の農家で構成される「たかしま有機農法研究会」が、農薬・化学肥料を使用せず、生物多様性に配慮して米作りを行っている田んぼです。
5月19日(水)、その「たかしま生きもの田んぼ」に、国連主導のもと企業の社会的責任(CSR)を推進する「グローバル・コンパクト・ジャパン・ネットワーク(以下GC-JN)」関西分科会のメンバーが集まりました。
GC-JNは、企業の社会的責任(CSR)を推進するグローバル・コンパクト(以下、GC)の認知と活動の拡大を目指し、各国で設立されたローカルネットワークの日本支部です。
GC-JNの加盟企業等は日本では113団体(6月15日現在)に達し、担当者(CSR担当者や、それに類する部署の方々)が10~20名が集まり、分科会活動を行っています。その分科会の活動を通して、CSR活動のあり方を捉えなおし、自社の取り組みに反映させることを目的としています。
(グローバル・コンパクトの詳細はこちら⇒(新しいウィンドウで開きます))
アミタグループは2002年にGCに署名して以来、東京でGCの取り組みを日本に広く認知させるための広報活動に関わるとともに、関西企業が主に参加している関西分科会に、大阪で勤務する社員が参加しています。関西分科会は月に1回、GC10原則(新しいウィンドウで開きます)をテーマにした活動を行っており、今回は5月22日の国際生物多様性の日も控えていることから、先進的な取り組みについて実際に現地を視察するため、アミタグループの事業会社であるアミタ持続研がプロデュースする「たかしま生きもの田んぼ」のフィールドワークに訪れたのでした。
アミタ持続研は、この田んぼのプロジェクトに発足時から関わっており、生物多様性保全策の実践、環境共生型の地域ブランド米『たかしま生きもの田んぼ米』の商品化や販路拡大、農家グループの組織化、各種メディアを通じた情報発信など、環境保全型農業の推進に向けて総合的な支援を実施してきました。
「生物多様性の問題」といっても、企業は具体的にどんな対策を行えばいいのか、何ができるのか、模索を続けているのが実情です。今回のフィールドワークが行われた背景には、実際に先進事例の現場を見て、取り組みを体感することで生物多様性への理解を深め、各企業における実践に向けたヒントを得ようというCSR担当者の想いがありました。
当日は、あいにくの雨の中、6企業等、計15人が集まりました。
はじめは、生きもの田んぼ米で作られたおにぎり2種と、生きもの田んぼの稲わらを活用して作った納豆を試食しつつ、この田んぼで米作りを行う農家の方のお話を伺いました。
「生きもの田んぼ」では、農薬や化学肥料は使わないため、米の成育に手間はかかりますが、この農法により豊かに、多様になる生物を見て、この活動を継続していかなければならないと思ったと農家の方は語ります。高島には、トキのような象徴的な生物がいるわけではありませんが、多種多様な生きものを育む「生きもの田んぼ」の取り組みを伝え、そこに共感した消費者が、そこから生まれたお米を購入することで活動を支えます。「品質」に加え、「物語」によって米のブランド価値を高めることができる。その手法に参加者からは感嘆の声がもれました。

その後、雨がやむタイミングでフィールドワークを開始。アミタ持続研の本多研究員の案内のもと、参加者全員が長靴をはき、生きもの探しを行いました。田んぼや、田んぼ横の水路を網ですくい、中をかき分けて、生物を探します。ニゴロフナや、絶滅が危惧されるナゴヤダルマガエルも見つけました。本多研究員の解説により、多様な生物を実際に見て、触れた参加者方々は、「生きもの田んぼ」の豊かさを改めて実感したようでした。
また、「自分は、これまで田んぼイコール『米を生産する場』という以上の意味は持っていなかったし、そこに生物がたくさんいるのだというイメージもなかった。今日ここに来て田んぼの概念が変わった」、「『生物多様性」という言葉だけでは抽象的な概念にとどまっていたが、実際に「生物多様性が保たれている場」を体感し、取り組む人の話を聞いたことで、具体的なイメージを持つことができた」といった声が聞かれました。
このような機会から、多くの人々が個人として社会の新しい取り組みに目を向け、その価値観を企業活動に繋げていくことができるよう、アミタグループは取り組みを続けていきます。そして、循環型システムをつくるリーディングカンパニーグループとして、これからも「生物多様性」に寄与する場の提供や事業を生み出していきたいと考えています。
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(取材、構成:カンパニーデザイン室 伊藤)