FSC認証とコスメの新たな出会い ~LUSH(ラッシュ)インタビュー~ 前編
2009年10月 9日
フルーツやお花、スイーツの華やかで甘い香りに引き寄せられて店内を覗くと、そこはヨーロッパのデリカテッセンのように、カラフルな商品が山盛りに積み上げられています。そんな見ているだけで楽しくなるお店、「LUSH(以下、ラッシュ)」(新しいウィンドウで開きます)はイギリスで生まれたフレッシュハンドメイドコスメのブランドです。
8月27日、ラッシュ新宿駅前店に紙袋のタワー(新しいウィンドウで開きます)が登場しました。その数はなんと4,500枚。世界中のラッシュの中で1番の売上を誇るこのお店に、1日に訪れるお客さんの数だけ紙袋を積み上げたそうです。なぜ紙袋をお店に山盛りにしたのでしょうか?それはこの紙袋に秘密がありました。
(店頭に積み上げられた紙袋のタワーとFSC認証ロゴマークつきの紙袋)
この紙袋は、適切に管理されている森林を認証する、FSC認証(新しいウィンドウで開きます)を取得したリサイクル100%の紙「FSCリサイクル100%」を使用しているのです。グリーン購入やCSR活動に取り組む企業は年々増えていますが、こんな風に斬新な方法で、FSCをひとつのPR活動として打ち出している企業は珍しいといえます。
日本へのFSC認証の導入に携わり、
FSCの審査・監査サービスを開始して今年ちょうど10周年のアミタは、同様に日本進出10周年を迎えられたラッシュのこの取り組みに、新鮮な驚きと大きな関心を抱き、そして何かご縁のようなもの感じました。そこでさっそく、ラッシュへFSC認証の紙袋を取り入れた経緯やPR戦略、環境へのこだわりや想いなどをインタビューしてきました。
そこで出迎えてくださったのは、とても素敵なPRマネージャーの宮入史恵(みやいりふみえ)さんと調達担当の近藤義也(こんどうよしや)さん。お二人にそれぞれのお立場でお話しを伺うことができました。(以下、お名前は敬称略)
今回のインタビューの様子は前編、後編の2回に分けてお届けします!
■ラッシュがFSCの紙袋を使用するに至った経緯を教えてください。
近藤:まず、私たちが大切にしている「ラッシュライフについてお話しさせていただきます。「ラッシュ」とは英語でみずみずしい、緑が生い茂っているさまを指し、「ラッシュライフ」とはその通りみずみずしく豊潤な毎日を意味しています。ラッシュは、すべての製品をフレッシュな原材料を使って手作りすること、
動物実験を行わない会社からのみ原料調達を行うなど、11個の信念(新しいウィンドウで開きます)を掲げ、実行しています。また、環境についてもなるべく簡易包装を心がけるなど、可能な限り環境に負荷をかけないような取り組みを実施しています。
信念を真摯に実行していく一方で、意外だと思われるのが、商品にカラフルな色を使っていることです。環境に配慮して色を付けない商品を作ることはできますが、色があることによって、その日の気分で好きなものを選ぶ喜びや楽しさを感じられると思うのです。そんな、常にクリエイティブで楽しい「ラッシュライフ」を大切にしています。(簡易包装の固形シャンプー)
紙袋については、今年の春から「FSCリサイクル100%」のものを使い始めました。私が紙袋の原料について検討を始めたのは4年くらい前のことです。なるべく商品を包装をしない取り組みはしていますが、やはり紙袋はどうしても必要なもの。さらに、お客様がラッシュの紙袋を気に入って二次利用してくれていることに売る側としてとても喜びを感じてもいます。ですから、紙袋にはついては、常に環境によりよいものを取り入れていきたいと考えてきました。紙袋の素材には、リサイクル100%の紙を用いることを条件におきました。しかしせっかくそれを取り入れても裏づけがなければお客様にきちんと説明をすることができない。そこで、認証があれば証明することができると考え、3年かけてやっと最も信頼しうる認証制度である、FSC認証の紙を紙袋用に探し当てることができました。リサイクル100%の紙には、再生紙ならではの小さな「ゴミ」が見えるのですが、それが世界にひとつだけの模様となり、「一点もの」ならではの可愛さや味があるのでとても気に入っています。そういった、信念をもとにこだわって素材を調達することも、その中に楽しさや味わいを見出すことも「ラッシュライフ」だと考えています。
■FSC認証の紙袋をPRキャンペーンとして打ち出そうと考えたのはなぜですか?
宮入:ラッシュジャパンは今年日本上陸10周年を迎えたのですが、商品のユニークさ、接客のおもしろさだけにとどまらないブランドとしての大切なところを改めて打ち出したいと考えていました。そこで、世界で売上NO.1の新宿駅前店で、多くの人が目にし、ファッションのアイコンにもなる紙袋で環境の取り組みをPRしようと考えたのです。紙袋を再利用してくれるファンのみなさんがいることや、紙袋に入ったプレゼントを大切な人に渡すときのワクワク感を伝えたいと思ったのも理由です。
ラッシュのお店では、ソープを山積みにしてディスプレイしていることで有名ですが紙袋もおなじようにデリカテッセン風に盛ってタワーにしたらおもしろいのではないかと考えたのです。楽しい買い物の最中でも、ちょっとだけエコについて考えるきっかけがあれば、とてもラッシュらしいのではないかと思いました。ちょうど、フェアトレードのオーガニックコットンで作ったグリーンバッグも発売になったので、紙袋とどちらか好きなほうをお客様が選んで使っていただければ良いなと考えました。
今回の取り組みには、「エコにどこから手をつけていいかわからなかったけど、こんな風なやり方だったら無理せず楽しくできる。」というお客様からのお声もあり、私たちとしても新しい気づきがありました。
■FSC認証材は紙袋以外でも今後広げていきたいですか?
近藤:一部のオリジナルのギフトパッケージは既にFSC認証材を使っています。間伐材でショップの内装ができたらいいなとも考えていたので、ひとつの店舗で木をテーマにして認証材の内装にしてもおもしろいかもしれませんね。
■社内で、FSC認証やその他の環境に関する教育はどのようにされていますか?
近藤:工場に隣接したオフィスでは、毎月従業員向けに「エシカルバイイングポリシー」というセミナーを実施し、どういう信念で調達を行っているかとともに、FSC認証についても説明しています。「エシカルバイイング」とは、倫理的・道徳的な購入をすることで、ラッシュでは、「ただ買う」だけでなく、買うことによって「良いこと」につながる環境や社会に配慮をした「やさしい」購買・調達活動を行っています。
宮入: ラッシュに在籍する約1,700名のスタッフはみな、基本的な信念は認識していますが、環境に関しては正直まだ認識レベルに差があると感じています。一番のネックは堅く考えすぎてしまうこと。個々の取り組みは、私たちのゴールであるラッシュライフにつながるあらゆる切り口の一端に過ぎないということに気づきにくいのかなと思います。
ですが今回、FSC認証材の紙袋を使ってイベントをやったことで、興味を持ち、そのつながりに気づいてくれたスタッフが多かったのは非常に意味があったと感じています。環境への取り組みは決して難しいことや一過性のものではなく、一歩一歩の積み重ねがつながって意味を持つ。それを今回のイベントのようなきっかけを通じて、自然に広めていけたらと思っています。
(ラッシュ社員が独自に取り組んでいるGREEN ヘルパー)
続きは「後編」(新しいウィンドウで開きます)で!ラッシュのブランディングの秘密や宮入さん、近藤さんのラッシュへの想いをご紹介します。お楽しみに!
(取材・構成 カンパニーデザイン室 鎌田紗織)