「徳島に来れますか?」
ナカムラさんとムラサワさんにそう誘われた僕と社長が行ったのは、
徳島県の田んぼの真ん中にある『テーブル工房kiki』。
むかえてくれたのは、『ケンジさんとキョウコさんご夫妻』。
これで登場人物が揃いました。
もともとテーブル工房kikiは、先代が座卓を製造するメーカーで
現社長のケンジさんが、無垢板テーブルをがんばりはじめたそうだ。
「無垢板テーブルの制作で生じる端材で小物がつくれないか?」
とムラサワさんに相談したのが、出逢いのきっかけだったそうだ。
kikiさんの工場の大きな窓からは見事な眉山と旧吉野川が一望できる。
窓の外の川原の土手には、たまに犬が通って、なごむ。
そんな気持ちの良い場所で、打ち合わせがはじまった。
ケンジさんとキョウコさんは、すでにムラサワさんのデザインした
木のタンブラーを試作をしてくれていた。

無垢の木のすべすべした手触りが気持ちいい。
みんなで、さわさわ触って、ふってみる。
でも、
「ちょっとふりにくいかも~」
「牛乳瓶みたいにもうちょっとまるっこい方がかわいくない?」
「中を洗うのがたいへんそうだな~」
っていうことで、
ゼロから考えなおすことに。
みんな、う~ん、としばらくうなる。
「ふたはかわいいんだけどね~」と誰かが
牛乳瓶にタンブラー用のふたを「かぽっ」とはめてみると・・・

「かわいい!」
「帽子みたい!」
「これだ!」
とみんな大騒ぎ。
しまいにはキョウコさんが、
「実は私、さっきまでのやつ、かわいくないわー、
こんなんつくりたくないわー、と思ってたんよー。」と言う。
ショックをうけるムラサワさん。
とにかく、みんなの心がひとつになったところで、お昼の時間。
徳島ラーメンを食べに連れて行ってもらった。
「アミタは価値を売ってるんです、だから、バターチャーンじゃなく、
『バターを手作りする』というスタイルを売りたいんです!」と
肉・玉子入りラーメンをすすりながら、熱く語る社長。
午後は工場で、ふたと、できたバターをすくうためのスプーンの試作。
牛乳瓶の口に合うように、木のふたをもういちどつくりなおして、
かたちも何パターンかかたちをつくってみる。
ケンジさんと職人さんが機械でウィーンとふたをつくってくれて、
社長と僕は、ムラサワさんに教えてもらいながら、
シャリシャリシャリシャリやすりをかけて、
いろんなかたちの木のスプーンをつくった。
いくつかのふたとスプーンをつくって、
あとはケンジさんとキョウコさんにお願いし、
僕らは東京に帰った。
(つづく)